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野鳥記録(声)

アオバトを見るには

(from 2002.01.20)

神奈川 大磯町 照ヶ崎にて(撮影:吉田 敬一氏)

◇ アオバトは照ヶ崎(神奈川県大磯町)で見られる

 まだアオバトを見たことのない人は一度アオバトに会いにでかけてみよう。照ヶ崎の磯を一望する、大磯港のプールのそばの堤防に上がるとアオバトの看板があります。そこからあたりを眺めてみよう。磯が目の前に広がっています。後ろを振り返ると、西湘バイパスの向こうに緑の大磯丘陵が横たわっています。すぐ手前に見える松林はエリザベス・サンダース・ホームの緑。 西の方にも、大磯町役場の建物を囲む松林も見えます。松にアオバトはよく似合う。ここであなたはアオバトに会えるでしょう。

◇ 五月中旬から九月下旬までが見ごろ

 同じアオバトが一日に何度も海水を飲みにやってくるのかどうかはまだよくわかっていませんが、岩場を訪れるアオバトの数を数えてみると、一日の総計が三千羽近くに達した日もありました。一度に確認できた数の最高は四百四十羽。岩がアオバトですっぽりと覆われ、まるで緑の傘のようです。 アオバトが沢山見られるのは朝。七時台から八時台がピーク。アオバトがいちばん美しい色で見られるのも朝だから、たまには早起きして照ヶ崎を訪ねてみるのもいいでしょう。遠地の人ごめんなさい。

 朝しかアオバトはみられないか? そんなことはないです。 朝方が雨のときなどはアオバトたちの出足が遅れて、ピークも十時ごろにずれることもあります。それから、どういうわけか、七月から九月上旬にかけて午後にももうひとつピークができることもあります。五月中旬から九月下旬までは夜明けから日没までアオバトたちは数の多少はあっても必ず姿を見せてくれます。 一日中雨が続いたり、強い風が吹き荒れる日は、アオバトたちはお休み。

◇ だれでもアオバトはわかる

 ハトを知らない人はまずいないでしょ。ハトにもいろいろな種類があり、だれでも知ってるのは、ドバトでしょう。お寺やお宮、公園や駅などに、餌を求めてよく集まっています。 伝書鳩はこの仲間。 次によく見られるのはキジバトというハトで、昔は山鳩と呼ばれていました。 静かな林や畑などによくいたものです。 いまは町鳩と呼び名を変えてもいいくらいで、街路樹にも巣を作っているほど身近なハトになってしまいました。 全身が薄い茶褐色をしていて、翼のところにうろこ状の模様があるのが特徴です。 鳴き声は「デデッポッポッポー」と聞こえます。

 照ヶ崎にはキジバトはあまりやってこず、かりにやってきても一羽か二羽で、群れで飛んでくることはまずないです。ドバトは群れでよく見られ、西湘バイパスの橋脚にずらりと並んで羽づくろいをしていたりします。アオバトも群れをなして飛んできます。

 群れをなしているハトがいたら、アオバトとドバトを見分けてみよう。海の岩に飛んでいって降りるハトがいたら、それはアオバト。ドバトのほうはプールの水を飲んでいても、群れで磯の岩場に海水を飲みにはいかないからです。

 

◇ アオバトは美しい

 

 群れで岩場に降りていくアオバトを見たら、目を離さないことです。 海水を飲み終わると、アオバトたちはすぐに帰ってきます。堤防の上に立っているあなたの頭の真上を飛んでいくこともよくあります。 そのときよく見てみると、頭上を飛んでいくアオバトたちの体の色が横からの陽光を受けて肉眼でもハッキリと見えます。 美しい黄緑色があなたを感動させることでしょう。 翼をうち下ろすときに、よく注意していると肩のところがブドウ色をしたアオバトに気がつくはずです。それがアオバトの雄で、雌は肩の色も体と同じ若草色です。

 

◇ 山でも見れます

 大磯丘陵が緑に覆われているころ、高麗山や湘南平の山路で不思議な声を聞きます。 「ゥーアオーアオ、アオウアオー」と聞こえる声。 救急車のサイレンのようにも聞こえなくもないですが、尺八を吹き鳴らす音にもちょっと似ています。聞きようによっては哀愁を帯びた音色に感じるかもしれません。 緑の中でアオバトの姿を見つけ出すのはちょっと難しいかもしれませんが、この声は一度それとわかったら、もう間違えようがない声です。

 結構深い山でもアオバトの声を聞くことがあります。霧なんか出ていたりすると雰囲気が出て幽玄な気持ちにもなります。

◇ アオバト飛来地・照ヶ崎 は県の天然記念物

 私たちの調査では、アオバトたちは丹沢のブナ林帯で繁殖し、そこから毎日ここへ海水を飲みにやってくるようです。 アオバトたちにとって、塩分は不可欠なもののようですが、世界に三百種ほどハトの仲間はいても海水を飲みに毎日磯を訪れるような種は、このアオバトだけのようです(最近、塩水の吸飲はカラスバト、モリバトでも観測されています)。

 照ヶ崎が好天でも、はるか海上を台風が通過中で大きなうねりの波が磯に打ち寄せるような日は悲劇が起きてしまいます。飛来したアオバトたちが、荒波の中、海水を飲もうと磯に降りて波に叩きつけられて命を落とすのです。

 私たちの調査で照ヶ崎が全国でいちばんアオバトが数多く海水を飲みに訪れる場所だとわかりました。 この貴重な大磯町の照ヶ崎の磯は1996年神奈川県の天然記念物に指定されました。(パチパチ)

 あなたも、こんな、アオバトを見に来ませんか?