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欲しいのは、海水中のミネラル?塩? 

私のアオバト仮説 その三

田端
2001.12.02

 世界のアオバトの仲間たちのほとんどは熱帯に棲む。
 日本のアオバトだけが北限に生息域を広げた。それが海
水吸飲行動と関連があるのではないか?
 海水吸飲行動が見られていないズアカアオバトは地上採
餌もよくするようだ。それに引き替えアオバトの方は、ほ
とんどが樹上採餌で、果実を食べても種子を排泄しまう。
 このアオバトの食性が海水吸飲行動と関係があるのでは
ないか?
 今回は海水を飲むということにどんな意味があるのかを
さぐった。
 ご意見ご批判大歓迎!

  •  海水と温泉の成分はよく似ている

 日本のアオバトたちは海水を飲む。
 海水とはどんな成分を含んでいるのだろうか、そしてそれは淡水
とはどんな成分が異なるのだろうか。
 多賀・服部(1994)のデータをお借りして比較してみた。
 すべて、1kg中の量である。mg/lをmg/kgに統一した
り、SiO2をSiに換算したり、数値を小数点第1位までにするなど、
若干の変換を田端が行った。

 アオバトは海水を飲むだけでなく、温泉の水もよく飲むという。
 両方の成分を比べてみると、含有する絶対量に差はあっても成分
比はとてもよく似ていることがわかる。
 次には、普通の鳥たちが飲んでいる淡水にはどんな成分が含まれ
ているのだろうか、調べてみよう。淡水といっても、雨が降ったば
かりの水たまり、川の水、湧き水の水場など鳥たちが飲む状況によ
っていろいろだ。

 雨水は本来は蒸留水であるが、降水となる過程でいろいろな物質
が溶け込んでくる。このデータは比較的汚染が少ない値だという。
 地下水の成分は同書によると、化学成分濃度は、河川水のそれ
より30%増加しているとみなせばよいという。
 成分の割合には大差ないそうだ。

  •  ミネラルを補充するのか、塩(NaCl)が必要なのか

 アオバトの海水吸飲については、(1)ミネラルを摂っているの
だろうという説と(2)塩(NaCl)を摂っているのだろうという
説が代表的だ。
 人の身体を例にとってみると、皮膚や体液、臓器の構成要素とし
て多量に使われている元素に、炭素、窒素、酸素、水素がある。
 これに対して、量こそ少ないが、生理作用をコントロールする重
要な働きをしている元素がある。
 少量元素のCa、P(リン)、S(硫黄)、K、Na、Cl、Mg、微量
元素のFe、F(フッ素)、Si、Zn(亜鉛)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、
Se(セレン)、I(沃素)、Mo(モリブデン)の16の元素である。 
 この中から、非金属元素のP、S、Clを除いた少微量元素のグル
ープをを必須ミネラルと呼んでいる。
 海水(温泉水)と淡水の成分を比べてみると、海水にはミネラル
が豊富に含まれていることがわかる。
 種子成分を摂らないで体外に出してしまう“果肉偏食”のアオバ
トは必須ミネラルを補うために“ミネラルの宝庫”海水を飲むのだ
という説の根拠もここにあるようだ。

  • Na−Kバランス

 塩(NaCl)を摂るために海水を飲むという説の根拠には、『Na/
K比バランス』がある。
 生体の細胞の内と外ではさまざまな“ミネラルバランス”が働い
ていて、その働きで動物の生理作用が営まれている。
 神経細胞膜では、その内液にあるカリウムイオンと外液にあるナ
トリウムイオンの入れ替わりによって、生体にとって大切な神経伝
達が行われている。


 草食動物はその食性から、どうしても体内にカリウムが増加して
しまいがちなので、NaClを求めて摂ることで体内のNa−Kバラン
スを維持しているという。
 人の食品の成分からもそのことが類推できそうだ。

アオバトは果肉偏食によって増加する体内のカリウムイオンと、
バランスを保つためにナトリウムを摂取する必要から海水を飲むと
いうのがNa−Kバランス説だ。
 いずれの説(あるいは両説とも)をとるにしても、アオバトの食
性解明が鍵を握っている。特に海水吸飲行動が見られていない冬期
の食性観察事例を豊富に集める必要がある。

 

参考文献

  1. 多賀光彦・服部淑子 1994: 地球の化学と環境 三共出版M
  2. 高橋英一 1987: 生命にとって塩とは何か 農山漁村文化協会
  3. 谷腰欣司 1997: 図解 ミネラルのはなし 日本実業出版社