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アオバトの採餌記録を歳時記風に纏めてみた

私のアオバト仮説 その9

田端
2002.07.02

 5月の初め、ふたたび丹沢に入った私たちは、こんどはサワグルミの花穂を日がな一日食べているアオバト達を眺めていた。永田洋平さんが、『北海道弟子屈付近に於けるアオバトの生態観察』という論文の中で「樹に止まる時は概して梯子(はしご)段状になるが 、レンジャクヒワの如く一枝に蝟集(いしゅう)する事は筆者の経験で先ずない」と書かれている。

 アオバトの群が休んでいる光景は、まさにこのようだった。先月号で「ブナ林」のことを書いたが、季節による食性の変化が気になってきた。

ドングリ採食と海水吸飲は別の季節か

 ブナの新芽、サワグルミの花穂‥‥。

 この季節、まだアオバトたちが採餌できる実は樹上には見当たらない。それとも地上に去年の実が落ちていてそれを採餌しているのだろうか? あるいは未熟な果実を?

 夏鳥として暮らしている北海道では、永田洋平さんの文章では、“渡来期から蕃殖期にかけては木の葉などが主食だが、時には山間に出て大豆の双葉を食害することがある。

 弟子屈町の原野にある農地は毎年アオバトの成鳥に食害される大豆畑が多い。秋期はヤマグワ、ナナカマドの漿果を摂っているが、尚これらの食性に関しては精査を要するものである。”としている。

 和歌山県田辺市にお住まいの和歌山県支部幹事の津村真由美さんのメールには、南国での冬季の生活が描かれている。

…………………………………………………

 私の住む和歌山県南部(通称=紀南)では、アオバトは照葉樹林に住み、繁殖期は山地に多く、秋から春先までは里近くでも観察できます。天神崎(ナショナルトラストの地)では、海辺の樹林で周年見られます。私の家の裏にも例年十数羽の群れが現れます。家の周りは、果樹園地帯ですが、彼らは、いわゆる雑木林=コジイ・アラカシ・ヤマモモなどの林に住み、特にシイ林では、地上に降りて採餌している姿を普通に見かけます。しかし、何度か何を採っているのか調べて見ましたが、よく判りませんでした。

 その動きは、地上で餌を拾っているキジバト(家の前で、道路に落ちて、車に轢かれたコジイやアラカシの実を拾います。)に、よく似ています。

 キジなどの鶏系、シロハラなどのツグミの仲間、ウチヤマセンニュウでは、動物を捕っている事が多く、たいていは木の葉を蹴散らしながら歩いていますが、アオバトの場合は、静かに嘴をさしいれています。山間を調査などで歩いていても、地上から飛び立つ事が多く、又、テンやイタチなどに捕食されたと思われる羽毛のちらばりを各地で見かけます。

 又林道で拾う羽毛もアオバトのものが一番多く、どこへ行っても必ず落ちています。このことから、冬季の採餌は、主に地上でしていると考えられます。

…………下線は田端が付した……………………

 ここ天神崎のアオバトたちは冬季には海水吸飲はしない。

 南国の照葉樹林帯で留鳥的生活を送っているときのアオバトたちは、どこかズアカアオバトとも共通する食性が想像できるが、北へと生活域を広げたアオバトたちにはなにか別の食性を開拓して適応していったのではないか。

 ともかく、これまでわたしたち“こまたん”が収集した情報をまとめてみようと思い立ったのが、以下のアオバト採餌記でもあり、歳時記でもある一表だ。

 何月何日と具体的な観察記録をさがしあてることがまだできていない項目もかなりある。

 その場合は、季節がわからないので、アオバトが採餌したのが果実と書いてある場合は、地上に落ちたのを採餌しているのか、樹上にあるのを食べているのかは不明である。

 ★は【北村四郎補・岡本省吾著 1959 原色日本樹木図鑑 保育社】による熟果期の関東以西近畿までの平年例である。種類によっては10月頃熟した実が翌年3−4月頃まで落ちずにいるものもあると注釈があった。

 未熟なミズキ類の実を食べている【こまたん BINOS VOL.3】例もあるので、地域、季節の別、高地か平地かなど、いろいろな要素の記録を追加収集して分析していこう。
次回はピジョンミルクの謎を追ってみる。

アオバト“さいじ”記

採食期★と 観察期 植物名 採食 部分 文献資料
1月上旬 新潟県 カキ(顔中から胸までを汚して食べる) 高野伸二編 1985 日本の野鳥 山と渓谷社
2−3 ウメ 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
ツガ 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
モミ 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
カシ類 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
3.1 岐阜 アラカシ、シラカシ 地上で 乾果 森田澄夫氏観察
シイ 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
ナラ類 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
3.1 岐阜 コナラ、クヌギ 地上で 乾果 森田澄夫氏観察
コナラ 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
ミズナラ 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
3.4 名古屋 アラカシ 地上で 乾果 山本卓也氏観察
3.18 名古屋 アラカシ 地上で 乾果 古田晴美氏ほか観察
4.21 小田原 ミズキ 未熟実 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1991-96】
4.29 丹沢 ブナ 新芽 こまたんアオバト調査隊丹沢調査
アカガシ 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
ツクバネガシ 新芽 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
ミヤマタニタデ(多年草) 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
ダイズ 双葉 永田洋平 「北海道弟子屈付近におけるアオバトの生態観察」
★5 ナワシログミ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
5.5 丹沢 サワグルミ 花穂 こまたんアオバト調査隊丹沢調査
5.16 南足柄 サクラ 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1986-91】
★5−6 クリ 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
★5−6 リンボク 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★5−6 ハリエンジュ(ニセアカシア) 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
5.20 丹沢 ヤマグワ 多肉果 こまたんアオバト調査隊丹沢調査
★6 ヤマグワ 多肉果 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
6.6 マメザクラ 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1977-86】
マメザクラ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
5−7 ヤマザクラ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
6.22 ヤマザクラ 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1977-86】
6.29丹沢札掛 ニワトコ 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1977-86】
ニワトコ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
6−7 キイチゴ類 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
★6−7 ヤマザクラ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★6−7 エゾヤマザクラ(オオヤマザクラ) 多肉果 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
ヤマグワ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
★7 オオヤマザクラ 多肉果 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
★7-8 ウワミズザクラ 多肉果 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
★7−8 ウワミズザクラ 多肉果 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
7−9 丹沢 ミヤマザクラ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
7−10 ミズキ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
7−10 クマヤナギ   こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
★8 マツグミ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
8.25丹沢山 グミ類 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1986-91】
8.29山北町 グミ類 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1991-96】
8.23小田原 木の実(ヒヨドリ5羽に追われる) 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1991-96】
★8−9 エゾニワトコ 多肉果 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
ヤマブドウ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
9.24藤野 ミズキ 多肉果 日本野鳥の会神奈川支部 神奈川の鳥【1991-96】
★9−10 ナナカマド 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★9−10 ミヤマナナカマド 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
9−10 アオハダ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
9−10 クマノミズキ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
9−10 エビヅル 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
★10 ミズナラ 乾果 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
10 ムクノキ 多肉果 こまたん 「アオバトの糞から検出された植物種子」 BINOS VOL.3
★10 エノキ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 ガンコウラン 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 ツルウメモドキ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 マユミ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 ミツバウツギ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 ヤマブドウ 多肉果 日本野鳥の会1984 小樽市張碓海岸のアオバト生息地保護のための報告書
★10 ミズキ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 クマノミズキ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10 ヤマボウシ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ヒサカキ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 サカキ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ハリギリ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ノブドウ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 カシ類 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 シイ 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ナラ類 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 コナラ 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ブナ 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 アカガシ 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ツクバネガシ 乾果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−11 ソヨゴ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★10−12 タマミズキ 多肉果 清棲幸保 1978 日本鳥類大圖鑑 講談社
★11 テリハノイバラ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
★11−12 ユズリハ 果実 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
10 ダイズ(一年草) 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
秋? タンキリマメ(多年草) 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
晩秋赤熟 ヤマビワ 多肉果 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版
秋? ヤマタニタデ 清棲幸保 1966 野鳥の事典 東京堂出版

高麗の鳥:2002年6月(第238号)