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ミネラルサイト再考

私のアオバト仮説 その15

田端
2002.11.25

 前号でアメリカの海水を飲むハト“オビオバト”のことを紹介したが、私たちはNa摂取の場所として海にこだわりすぎていたのかも知れないという疑問が湧いてきた。今回は海以外の場所でのNa摂取も合わせて少し論じてみたいと思う。

海以外で塩分をとるのが主流?

先日行われた滄浪閣での文化祭でこんな会話があった。

“Naをアオバトがとるために海水を飲むという仮説だが、あまり海だけにこだわらない方がいいかも知れない.”

“それはどういうことだ”

“ミネラルサイトという考えに立てば、温泉はもとより冷泉でももちろんいいわけだ.チョロチョロ湧き出ている冷たい湧水でもNaが含まれていれば、アオバトには充分だ”

“なるほど、人間にとって価値がなく注目されていない場所にアオバトが飲みに来ている可能性は大いにある”

“大磯の照ヶ崎が突出して注目されているが、多くのアオバトは毎日小群でNaを摂取する行動を人目に付かずに行っていると考えた方がいいのではないかな”

“大体考えてみれば、(i)天敵に全身を曝す、(ii)荒波に呑まれる、こうした二つのリスクを冒す行動の方が特殊かもしれない”

“そうかそうか、そうすると、照ヶ崎の場合なんかは、丹沢の方で繁殖していたが、何らかの理由で塩類泉が枯れてしまい、ミネラルサイトを求めて海に出てきたのかもしれないな”

“全国的に考えてみると、思いのほか、アオバトの生息数に比べて海水吸飲行動をする個体数が少ないとの印象も、これでその理由が説明が付くような気がする”

“あまり人が行かない磯で海水吸飲をしているかもしれない.だから、観察例が少ないんじゃないかと、いままで考えてきたが、逆に、海以外の場所の方が主流なのだと考えればなるほど”

 Robert Jarvis さんは論文の中でオビオバトがミネラルを摂取する場所メミネラルサイトモとして、ドライサイト(崖崩れで露出したミネラル含有地層、家畜用塩が溶け込んだ土壌)とウエットサイト(鉱泉、海水の湾や入り江、パルプ工場からの廃液、利用されなくなった自噴塩水井戸)を調査している。われわれも今後はこうした対象地も視野に入れて、データを集積していきたい。

アオバトの分布は

繁殖地、採餌地(森林)、塩分供給地の存在で決まる.

谷畑藤男さんは野鳥誌に寄せられた文章で、群馬県でのアオバトの分布を調査した経験から“アオバトの分布は繁殖地、採餌地である森林と塩分供給地の存在によって決定される”と述べている。塩分供給地、まさにミネラルサイトである。氏は群馬県多野郡上野村の野栗沢の谷底にある水場にアオバトが吸水に現れることを知って1994年7月26日に現地調査した。尾根の高木に30羽ほどのアオバトが集合し、図のような進入ルートでアオバトたちは水を飲む。8月初旬には80羽の群れを観察している。

その流れの奧には鉱泉湧出地があり、その成分も分析した。塩分を含むこうしたサイトがあれば、海から遠い内陸でもアオバトが生息できると氏は書いている。そのほかのミネラルサイトにも氏は触れている。

 安中市磯部で半導体を生産する工場の敷地内谷間のゴミ捨て場に塩分を含む薬品が捨てられているらしい。工場との境のニセアカシアの林に40羽以上のアオバトが群れていたと谷畑さんは書いている。汚染が心配されるが、こうしたミネラルサイトもあるのだ。

参考文献

  1. 谷畑藤男 1990: 群馬のアオバト分布を探る.『野鳥524号』日本野鳥の会
  2. 谷畑藤男 刊行年未詳 上野村の鳥類.『上野村村記』 
  3. こまたんの“鳩ノ湯調査隊長”の金子さんは『ハトの名を冠する温泉』で調べている.
    こまたんメンバーは金子隊長に倣って、温泉に行ったら成分を調べ、温泉周辺のアオバト情報を収集しなければならないと思った。