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冬のアオバトを追え

仮説が新しい仮説を生む(中) 

私のアオバト仮説 その18

田端
2003.03.08
 仮説の論点整理を2回にわたって行うと宣言したが、君子豹変して、“冬のアオバト”をさらに追求し、特集して、(中)篇とし、残りを4月号の(下)にまとめ、中間総括とすることにした。それだけ、私たちは“冬のアオバト”に目覚めてしまったことになるのだが…。

アオバト色のアオバトの郷

 気象情報をTV画面で見ていると寒い日には日本地図が紫色、冷たい水を思わす青色、雪のような白色で塗り分けられている。そのなかで、房総半島、伊豆半島、紀伊半島の南端や、室戸岬や足摺岬を含む四国南部や九州の宮崎付近が気温10度以上の地域として、黄緑色に輝いているときがある。それを眺めていると、まさにこのアオバト色に塗られた地帯が、アオバトたちの冬の郷なんだという気がしてくる。

 冬季の分布を全国的に調べた分布図としてよく引用される環境庁(1988)によれば、アオバトが冬季(1984年12月〜85年1月)に記録された都道府県は埼玉(4)、東京(7)、神奈川(2)、福井(2)、山梨(1)、長野(1)、岐阜(2)、静岡(11)、愛知(10)、三重(25)、滋賀(1)、京都(14)、大阪(4)、兵庫(6)、奈良(6)、和歌山(13)、鳥取(1)、島根(2)、岡山(4)、広島(8)、山口(16)、徳島(8)、香川(2)、愛媛(18)、福岡(2)、佐賀(2)、長崎(2)、熊本(21)、大分(21)、宮崎(10)、鹿児島(11)、沖縄(1)である。 ( )内はアオバトの報告があったメッシュの数

 この結果を見ても冬のアオバトが西南日本に移動していることは想像できる。全国合計238のメッシュでアオバトの報告があったことになる。この1メッシュの広さは約1km四方で、3次メッシュと呼ぶ。鳥類全てでは、全国で12,508の3次メッシュから報告が上がってきたとある。


 この3次メッシュの記録を約10km四方の広さ(2万5千分の1の地図に相当)にまとめて表示すると、2,401の2次メッシュに記録があったことを○で示したマップができあがる。

第3回 自然環境保全基礎調査 動植物分布調査(全種調査) (環境庁)

調査不十分の冬のアオバト

 環境庁(1988)の全ての鳥類記録をカバーした下の「鳥類報告メッシュ図」を見ていただきたい。スズメ1種でも報告があったメッシュは全て○で表示したとある。ということは、○が付けられていない空白部は調査ができなかったということだ。房総半島、伊豆半島、紀伊半島の南端や、室戸岬や足摺岬を含む四国南部や九州の宮崎付近‥‥私がアオバト色のアオバトの郷と表現した“冬のアオバト王国”がほとんど調査されていないのだ。高知県が一件も報告がないのも未調査だからだ。

 冬のアオバトたちの生態については、まだまだわからない未知の領域が残されていることがよくわかった。それにしても、84年から85年にかけてしか全国的な越冬期の状況が展望できないとは、もどかしい思いだ。

冬のアオバトは照葉樹林の樹下でドングリを食べている

 これが目下、こまたんが調査中の仮説だ。私たちはこの光景を自分たちの目で確認したいのだ。そこで、この冬の神奈川周辺のアオバト情報を一部紹介して状況証拠が集まってきた報告としよう。

☆鎌倉市稲村ガ崎 02.11.13 【鎌倉の池英夫さん】

アオバトが1羽いました。

☆秦野市権現山 02.11.17 【横須賀の石井さん】

9時40分〜54分の間に写真撮影  小野肇さんからのメール

☆秦野市弘法山 02.12.2 【鈴木逸子さん】

朝7時にアオバトの声。すぐ近くの枝に、アオバトが止っていた。メスの若と見た。計2羽を見た。

☆広沢寺〜日向薬師 02.12.15【八木正さん】

大雪の次の日、穏やかな日和、アオバトが1、2羽飛び去るのを見た人がいた。薄日射す山間を緑の羽根の色を見せて飛んだ。

☆丹沢湖の三保ダム駐車場付近【横須賀の石井さんの友人】

仲間の方4〜5人でアオバトを見たという。

☆平塚市吉沢(日ノ宮山)など 02.12.16 【下倉紘一さん】

日ノ宮山で姿を、鷹取山で声を アオバト3羽(うち♀1)

☆高麗山東天照北面中腹 02.12.27 【八木正さん】

アオバトの初列風切羽拾う。まだ新しい羽根で枯れ葉の上にそっと載っていた。

☆平塚市土屋の愛宕神社下 02.12.27 【鈴木逸子さん】

8:25 朝日を浴びて、すっかり葉の落ちたケヤキの横枝に止まったアオバトは柔らかい緑色とエンジ色のオスでした。

☆茅ヶ崎市芹沢 里山公園予定地 02.12.28【白田則子さん】

ある男性「さっきアオバトがいた。姿は見ていないけれど、朝7時頃アオ〜アオ〜と鳴いたからアオバトに間違いない。冬になると朝方よく来ている。夏には見かけない」と言う。

☆鎌倉市稲村ガ崎 02.12.28〜03.1.3 【鎌倉の藤村喜彦さん】

庭にモッコク、ピラカンサ、マユミを食べに若オス1羽が訪れた。

☆大磯運動公園の北の山 03.1.13 【関口圭さん】

15:30頃、アオバトの鳴き声が2回ほど聞こえた。

☆大磯虫窪慶林寺裏 03.2.7 【鈴木逸子さん】

10:10 カラスが騒ぐので東の空を見てみるとハトの集団がカラスにモビングされて慶林寺の上空に飛んできた。アオバト12羽。前日同所で10羽ぐらいのハトが地面から飛び立ち、木の枝に止まった。1羽だけ緑色のハトが見えた。地面にはどんぐりがいっぱい落ちていた。

☆大磯虫窪慶林寺裏 03.2.9 【斎藤常實さん】

鈴木さんがアオバトを見たという場所はアラカシ、シラカシの大木が何本もあり竹林の混林になっていて中には入りにくい。 ただし、道路側部分にもたくさんのドングリもあり、採餌しやすい場所になっていた。14:30頃、カシの木の近くの道路にアオバトの胸の羽根が落ちていた。

☆大磯虫窪慶林寺裏 03.2.11 【鈴木逸子さん】

9:05 アオバト3羽 アラカシの木から飛び出す。

 いま、アオバトの糞を探し出してドングリ採餌を立証しようという試みも始まっている。“冬のアオバト王国”の高知からも、奈良からも、大阪からも情報が提供されている。また、東京で渡り途中保護されたと思われる若いアオバトの情報も寄せられている。

 冬のアオバトたちの多くが照葉樹林の地上でドングリを食べていて、野鳥観察者がさほどいない地域に生息していたとしたら、彼らの生活がこれまでベールに包まれていたのも不思議ではない。数は多くないかもしれないが、神奈川の冬のアオバトに注目してみよう。謎解きはいよいよ佳境に入ってきたようだ。“冬のアオバトを追え”

参考文献

  1. 環境庁編 1988: 『第3回自然環境保全基礎調査  動植物分布調査報告書(鳥類)』日本野鳥の会