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ドングリとアオバト(1)

私のアオバト仮説 その20

田端
2003.09

 

 前回、ドングリにとってカケスは貯食行動を通じて“種子散布者”になっているが、アオバトは“種子捕食者”なのだろうかと疑問を呈しておいた。こまたんメールでも、アオバトとドングリとの関係や、ドングリの“生り年、不成り年”などについておしゃべりが続いていた。
 さて、「ドングリってなんだろう?」と考え出したら、いろいろと考えることが出てきた。

日本のドングリたち

 浜口さんが編集された『平塚・四季の自然』(平塚市博物館)に「ドングリ拾い」という項があって、ドングリはブナ科の樹木の実だが、種類によって形や毛の生え方、はかまの部分の模様などが違っていると書かれている。

いわさゆうこ・大滝玲子さんが楽しい絵本を作った。子どもの本だが、内容はしっかり書かれている。ご一読を。

 そこで「冬季はアオバトはドングリを食べているのではないか」という仮説を立ててみることにした。

 日本で見られるドングリを落とすブナ科の樹木は次の通りだ。

  • ブナ属(落葉)ブナ、イヌブナ
  • コナラ属
    • コナラ亜属(多くは落葉樹)

      コナラ、クヌギ(コナラ=小ナラに対して大ナラと呼ばれていたそうだ)、アベマキ、カシワ、ミズナラ、ナラガシワ (常緑は)ウバメガシ

    • アカガシ亜属(常緑)
    •  イチイガシ、アカガシ、ハナガガシ(九州南部に稀)ツクバネガシ、アラカシ、シラカシ、ウラジロガシ 

      オキナワウラジロガシ

  • クリ属: クリ(落葉)
  • シイ属(常緑)ツブラジイ(シイ、コジイ)、スダジイ(シイ)
  • マテバシイ属(常緑)マテバシイ、シリブカガシ

 こういった樹木が、かならずしもドングリ型ばかりではないが、堅果を秋に実らせているのだ。

 

名古屋市 昭和区興正寺 地上で(1995/3/21)

ドングリ採餌  (辻村 三氏 撮影)

 

アオバトが食べたドングリは?

 いま、アオバトがついばんだところを観察した記録をリストアップしてみると、次の4種類があがってくる。

コナラ属コナラ亜属の落葉樹

(1)コナラ(3.1岐阜 地上で)

(2)クヌギ(3.1岐阜 地上で)

-アカガシ亜属(常緑樹)

(3)アラカシ

 (92.4.18, 94.4.8岡崎市伊賀八幡 地上で)   ・・・伊予田仲次氏観察

 (95.3.4名古屋市千種区上野天満宮 地上で)    ・・・山本卓也氏観察

 (95.3.18, 3.21, 3.22, 3.26, 3.27, 3.28, 3.31, 4.1, 4.2, 4.4,

  96.3.14,3.16 各 名古屋市昭和区興正寺 地上で)    ・・・辻村 三氏観察

 (96.3.12、3.13  岐阜県揖斐郡池田町草深)    ・・・森田澄夫氏観察

(4)シラカシ(3.1岐阜 地上で)

ドングリ(種類は不明)を地上で食べていたという記録は

   78.4.10 岐阜公園 写真あり     ・・・伊藤良昭氏観察

   89.3.1, 4.1, 5.1, '90.3.18, 4.1, 5.3  岐阜県揖斐郡池田町養基神社    ・・・森田澄夫氏観察

   97.11.1 丹沢不動尻(煤ヶ谷)     ・・・宮ヶ瀬ビジターセンター情報

 

 

 

町中に残された照葉樹林の社寺林がアオバトたちにとって大切なのではないか

アオバトが地上に降りていた樹林は?

 アオバトは樹上採餌なら観察可能だが、地上採餌はなかなか観察がむずかしい。私たちこまたんの観察でも地上に降り立つ珍しい姿を目撃しても、採餌の様子、とくに何を食べているのかが、なかなか今回も確認できていないのだ。ただ、全国の観察事例でも“ドングリを実らせる樹林帯で”冬から春にかけてよく観察されているようだ。 アオバトとドングリの関係はかぎりなくアヤシイ。

 まだわからないことだらけなのだが、ドングリが地上に落ちるのは10月から11月の秋季なのに、アオバトたちがドングリを地上で採餌しているのはどうも時期がずれているようだ、なぜか? ほかのドングリ食の動物達との関係も知りたくなってきた。

 『20世紀神奈川の鳥』行動別索引で鳥たちとの関連事項をリストアップしてみると、(樹上採餌も混じっていると思われるが)

 アラカシ(カケス)、クヌギ(カケス)、クリ(カケス)、コナラ(オナガ、ハシボソガラス)、スダジイ(カケス、ハシボソガラス)、ブナ(ツグミ、コガラ、シジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、アトリ、カケス、ホシガラス)、マテバシイ(ハシボソガラス)、ミズナラ(カケス)、ドングリ(ヤマガラ、カケス、ハシボソガラス)

 斎藤(2000)によると、その他、キジ、アカゲラ、ミヤマカケス、ハシブトガラス、キジバト、エゾライチョウなどの鳥たちと、ヒグマ、エゾシカ、タヌキ、エゾリス、シマリス、エゾモモンガ、エゾアカネズミ、ヒメネズミ、エゾヤチネズミ、などが北海道の例としてあげられている。種子散布者か種子捕食者か、いろいろな生き物との関係が知りたくなってきた。

 


参考文献
  1. 北村四郎補・岡本省吾 1959: 原色日本植物図鑑 保育社
  2. 北村四郎・村田源 1979: 原色日本植物図鑑 木本編【II】 保育社
  3. 平塚市博物館 1986: 『平塚・四季の自然』
  4. 斎藤新一郎 2000: 『木と動物の森づくり 樹木の種子散布作戦』八坂書房
  5. いわさゆうこ・大滝玲子 1995: 『どんぐりノート』文化出版局