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ドングリとアオバト(3)

私のアオバト仮説 その22

田端
2003.09

 ドングリの謎は深まるばかりである。

「どんぐりとアオバト」のテーマで仮説を書き始めたいきさつを振り返ってみる。

 アオバトは冬はどのような暮らし方をしているのか?

 この疑問に答を出そうとしていたのだった。

 冬のアオバトの観察事例で一番顕著なことは、ドングリの実る樹林帯の地上でドングリを採餌していることだ。

 アオバトが食べているドングリの種類を調べてみると、コナラ、クヌギ、アラカシ、シラカシがリストアップされてきた。

 大阪市立自然史博物館の和田岳さんのホームページの記事から、アオバトのノドを通って呑み込める大きさのドングリは“アラカシがぎりぎり”の大きさではないかと思われてきた。

 ドングリの幅の大きさから、アオバトの採食条件が限定されていることがはっきりすれば、その樹種の分布から、アオバトの冬の行動圏がわかるかもしれないと思った。

ドングリの“幅”くらべ

 『日本種子図鑑』により精確な測定値が載っていたので、幅の小さい順に表示してみた。

ドングリ

落葉・常緑

ブナ(ブナ属)

8.6±0.3

スダジイ(シイ属)

8.8±0.5

ツブラジイ(シイ属)

8.8±0.5

アラカシ(コナラ属)

9.0±0.8

ツクバネガシ(コナラ属)

10.7±0.2

シラカシ(コナラ属)

10.9±1.7

コナラ(コナラ属) 11.8±0.7

ウバメガシ(コナラ属)

12.2±1.3

イチイガシ(コナラ属)

12.3±0.4

ミズナラ(コナラ属)

12.4±0.8

マテバシイ(マテバシイ属)

14.4±0.6

アオナラガシワ(コナラ属)

14.5±0.5

ハナガガシ(コナラ属)

14.6±0.4

アマミアラカシ(コナラ属)

14.7±0.4

シリブカガシ(マテバシイ属)

15.4±0.7

アベマキ(コナラ属)

16.9±0.6

カシワ(コナラ属)

17.6±1.1

クヌギ(コナラ属)

19.8±0.5

 

 これらのドングリの中で、落葉樹のドングリは、降り積もった落ち葉の下のドングリを足で落ち葉をどかして採餌しなければならないことを考えると、樹上採餌性が強いアオバトたちには採餌しにくいかもしれない。

 青いまだ若くて小さいドングリを食べることも想定すると、落葉樹のドングリもメニューに入る時期もあるかもしれない。

“生り年”と“不生り年”

 ドングリの実の大きさのほかに、なにかアオバトがドングリの種類を選択する条件として検討する必要があることはないかと考えてみた。 こまたんのメンバーのメールのやりとりのなかでは、ドングリの“生り年”と“不生り年”が話題になっていた。どうも、ドングリの実が実るのは年によって差があるようで、豊作の年と不作の年が分かれると言うことなのだ。

 ドングリの種類によって、豊凶の波が大きい種類と小さい種類があるとすれば、アオバトは冬季にどういう行動をとるのだろうか?一種に偏らずにその年に豊作だったドングリを順番に訪問して冬を過ごしていくのか?それとも安定して実をつけるドングリの種があって、それにもっぱら頼って冬を乗り切るのだろうか?

 いろいろな疑問を抱いていた時に、おもしろい本を見つけた。

 盛口満さんの『ドングリの謎』という本だ。ドングリも種類によって実を落とす時期が違うこととか、虫が付くドングリと付かないドングリがあること、渋に含まれているタンニンの量によって動物が消化不良をおこすのではないかということ、“不生り年”がなく、ほぼ安定した量の実を成らせるドングリもあることなど、アオバトは漿果をつけた樹木からみれば味方だが、ドングリを成らせる樹木にとってはそうとは言えない。

 ドングリの側から見たアオバトってなんなんだろう? ますます謎は深まるばかりだ。

 斎藤新一郎さんの『木と動物の森づくり』には、“不生り年”についてこんな説が書かれていた。

    1. 天候が不順であると、花が咲いても、結実量が少ない
    2. ある年の天候が不順であると、翌年の花芽がつくられにくい
    3. たくさん結実すると、樹木の体力が低下し、翌年の花芽ができにくくなる。
    4. 果実食者や害虫との関連で“隔年結実”現象が起きる

 ある年の天候が不順だと、その年と翌年が不生り年に成りやすい。

 生り年の翌年は不生り年になりやすい。

 こうした循環が果実食者の増加や害虫の大発生などの増減の波を作りだして、食べる物と食べられる物との間に一定のバランスを保っているのかもしれない。「不なり年」についてはいろいろな説があるようだ。もう少し調べてみたい。

 
参考文献
  1. 中山至・井之口希彦・南谷忠志 2000: 『日本植物種子図鑑』 東北大学出版会
  2. 斎藤新一郎 2000: 『木と動物の森づくり』 八坂書房
  3. 盛口満 2001: 『ドングリの謎』 どうぶつ社